発行物の準備・計画のマナー


 個人的にコピーとかで作る本なら、準備も計画もしなくても大丈夫・・・
 でも、他の人と一緒に作ったり、印刷屋さんに頼んだり・・・となると話は別になります。
 しっかりと準備・計画をして、失敗のないようにしないと、他の方にも迷惑をかけてしまうことに なるかもしれません。
 ここでは、どちらかというと『自分が責任者(の1人)として発行する本』についてを 書いていますが、他の発行物についても共通する点はあるかと思いますので参考にしてくださいね☆

 そして、余談になりますが・・・
 このページ、結構『発行物・印刷物のマナー』という検索語で引っかかることが多いようです。
 ・・・が、見ての通り、このページは『同人界』という特殊な状況下においてのマナーを扱うページですので、 参考程度にはなるかもしれませんが、一般常識とは若干異なる 部分もあるかと思います。
 一般常識上のマナーを求めてお越しになった方は、予めその点御了承の上で閲覧くださいますようお願いいたします。




同人誌か個人誌か
一般的には同人屋さんの作る本のことをまとめて『同人誌』といいますが、2人以上で作る本の ことを『同人誌』・1人で作る本を『個人誌』ともいいます。
個人誌の場合は、自分でやりたいようにやればいいのですが(業者で印刷してもらう場合は、 そこのルールを守らなくてはなりませんが)同人誌の場合は、そうはいきません。
発行前に、いろいろと決めておく必要があります。

発行前に決めること
ジャンル・ページ数・本の仕様・締め切り等はあらかじめ決めておきましょう。
個人発行なら突然の変更があっても問題ありませんが、『同人誌』となると話は別です。
同人誌の場合、『友達数名で一緒に作る』ケースと『代表者がゲストを募る』(依頼する場合と 募集する場合)ケースが 考えられますが、それぞれ気を付けることが違うので下記に別述します。

●友達数名で作る場合
全員が平等な立場で製作する場合も多いかと思うので『誰がリーダー』・・・というわけでも ないのでしょうが、決めておくべきでしょう。
変更したいことなどがある場合は、リーダーを中心に皆で話し合って決めましょう。
友達同士だと、様々なところでアバウトな面が出てくるかもしれませんが、 リーダーは毅然とした態度でそれらをまとめ、他のメンバーもリーダーに従うことが大切です。
この方法は、学生さんが印刷費をワリカンで作る・・・という場合に良く取られる方法ですが、 印刷費等の計算は間違いのないようにすることが大切です。
また、所属サークルがバラバラだったり、委託販売をしたり・・・等の場合、出来上がった本の管理 をどのようにするか・・・ということも決めておくと後のトラブルが回避できます。
ケースバスケースですが、売上金も赤字も、全員が平等に負担するような形に落ち着くのが 無難だと思います。
また、それほど親しくない人同士が費用を折半で本を作る・・・というケースもあるでしょうが、 基本的には同じ事です。
ただし、さらに細かい点にまで配慮が必要になるので気を付けましょう。

●ゲストを依頼する場合
親しいお友達や知り合いの方に、原稿をお願いする・・・というケースでは、お願いする相手の 方との『親しさ』によっても違いますが、先に『どのような本を作りたいか、どのような原稿を お願いしたいか』等をお話(お手紙・メール)した上で、『OKかも』・・・の返事がいただけた なら、話を進めていきましょう。
『このような企画があります』とマニュアルをお渡しするのも良いかも。
『原稿お願いします』に対して『ダメです』とはなかなか言い難いものですので、『もしお暇なら 描(書)いていただけませんか?』のように、相手の方に逃げ道を作ってあげるのも 心配りの1つですね。
お手紙のマナーにも書きましたが、突然『はじめまして』の方や、事務的なお付き合いのみの方に 対してゲスト依頼することは基本的にマナー違反です。

●ゲストを募集する場合
ペーパーやCMスペース、またはネットや雑誌の募集コーナーを使って、『○○本作りましょう』 と参加者を募集するケースでは、募集をかける前にマニュアルを先に作っておく 必要があります。
募集に応じて連絡くださった方に対して、そのマニュアルをお渡しし、その条件で問題のない方 のみに原稿をお願いしましょう。
中には、勝手に自分の条件を突きつけてくる人もいるかもしれませんが、他の参加者の方に対して 失礼ですので『じゃあ、あなただけ特別に』ということは、やめた方が無難です。
また、メジャーなジャンルを雑誌等のメディアを使って募集した場合、ビックリするほどの 多くの反響がある場合も考えられます。
その場合、大半の方にお断りをしなくてはならない事態になりますので、その心構えも しておくと良いでしょう。
参加者希望者のほとんどは、知らない人達である可能性が高いので、失礼の ないようにすることも大切です。

マニュアル
友人同士の同人誌の場合は、皆で話し合いながら作っていきましょう。
他所の方にゲスト等をお願いする場合はあらかじめきちんとマニュアル的ものを作って、 相手の方にお渡ししておかなくてはなりません。
直接お会いできない方に対しては、郵送でお送りします。
例え手書きのマニュアルでも、『ゲスト全員に同じものをお送りしている』ということの アピールのために、手書きそのままでなく、コピーした方が理想的です。
ネット上でのお付き合いのある方や、サイトでの募集に応じてくださった方に対してはメールでも 構わないでしょう。
当たり前のことですが・・・マニュアル、自分の手元にも1つ残しておきましょうね(笑)

マニュアルの中身
本のジャンル(作品名とか登場キャラ等)・目指す内容(ギャグ系とか何でもありとか・・・)・ 印刷形式(コピーかオフセットか、オフなら印刷屋は決まっているのか等)・本の仕様(サイズや ページ数、表紙が単色かカラーか等、決定している範囲で)・原稿用紙指定(サイズはもちろん、 メーカー指定とかがあれば)・依頼ページ数(1人何ページまでとか)・依頼ページの他に お願いすることはあるか(コメント欄やアンケート等の企画ページ)・禁止事項(アダルト禁止とか 特定カップリング禁止とか)・締め切り・・・等が考えられます。
ゲスト様へのマニュアルの場合、参加費が必要なのか逆に原稿料をお支払いするのか (これを書いていないマニュアルの場合は 参加無料とみなされます)・出来上がった本は差し上げるのか(購入してもらう場合は必ず その旨書かなくてはなりません。あと、その際の送料についてとかも)・原稿の返却について・・・ 等も必要かと思います。
まあ・・・作る本によっても、違ってくるでしょうけどね。
一度決定したマニュアルは、よほどの理由がない限り変更してはいけません。
・・・あ、友達同士での発行なら、相談次第のことなので話は別ですけど・・・

依頼書
これは、友達同士での発行の場合関係のないことですが・・・
ゲスト様に直接持ちかけた依頼話やマニュアルに対して、OKの返事がもらえた場合、 『では、お願いします』の意味で、改めて御連絡しましょう。
その際はマニュアルの再確認をし、正式に何ページお願いするのか・特にリクエストなどあるのか (ページ数も内容もお任せ・・・ということならその旨書いておくと、 相手の方も気が楽になるでしょう)等も忘れずに。
そして、原稿の発送方法についても書いておかなくてはなりません。
可能であるならば、携帯・自宅等の電話番号もお知らせして、緊急の連絡が取れるように しておくと良いかもしれませんが・・・まあ、人それぞれ事情はあるかと思いますので、 無理にとは言えません。

ゲスト様への連絡方法
基本的に、マニュアル・依頼書・その他の連絡事項共に郵送・・・というのが一般的です。
マニュアルや依頼内容が『書面』として残りますからトラブルの防止にもなりますしね。
ネット上の友人・知人、またはネットで参加者募集を呼びかけた企画であれば、郵送よりメールの 方が一般的かと。
詳しくは、サークル付き合いのマナー等にて。

ゲスト様をお断りする場合
中には、相手の方が提示した条件と折り合いがつかないとか、希望者多数(募集した場合)等の 理由で、お断りしなくてはならない場合もあるかもしれません。
その場合は、きちんと理由を述べた上で謝罪の言葉と共にお断りの連絡をしましょう。
理由は・・・正直に書くべきですが、例外もありまして・・・
例えば『参加者募集』の企画の場合、希望者の方に見本カットを同封して応募してもらうことが 多いですが、そのカットがどうしても気に入らないこと・・・ってありますよね。やっぱり。
ここで、『あなたの絵は下手なのでダメです』・・・なんて書いてはカドが立つわけで・・・
『参加者多数のため・・・先着(抽選)にさせていただきました』・・・とする方が良いのでは ないか・・・というのが個人的な考えなのですが・・・
(カット同封が条件・・・ってことは、実力が見たいという意味なのですから、それほど 神経質にならなくても良いとは思いますけどね)
また、こちらから話を持ちかけたのに何らかの理由でお断りしなくてはならない場合は、 その行為自体が失礼なことにもなりかねませんので、細心の注意が必要でしょう。

マニュアルに変更があった場合
本当ならあってはならないことですが、もしも・・・ということもありますので一応。
友人同士での企画の場合は、とりあえず全員に連絡して OKがもらえればそれで問題ナシでしょう。
ゲスト様に対しても、すみやかに御連絡の上、了解を得てください。
この場合、『残念なことですが、もし条件があわないようなら、今回の話をお断りくださっても 構いません』という意思を表さなくてはなりません。
特に、締め切りの変更とか参加費の変更の場合は、条件が変わってしまったことで、本当に 参加できなくなってしまう方もいるわけですから、その場合の配慮もしなくてはなりませんよね。
・・・単に、ページ数がちょっとだけ変更になった・・・とか、表紙のインク色が変わった・・・ とか、ゲスト様に迷惑のかからない変更であれば事後承諾でも問題ありませんけど。

再版・再録等・・・
また、ゲスト様からお預かりしていた原稿を再版・再録する場合は、予めその可能性があることを 伝えておくか、改めて許可を頂くべきでしょう。
逆に、他所様にゲストした作品を自サークルで発行する場合についても、相手サークル様に 許可していただくべきかと思います。
更に言うならば、最初から再販・再録についての事項(生原稿自体をお返しするのかどうかを含めて)を、 原稿募集・依頼のマニュアル内に書いておくとトラブル防止になって良いです。
よく、雑誌の投稿作品の欄に『応募作品は当社が権利を有します』的ことが書かれていたりしますが、 これと同じように一言書き添えるだけでも問題ないでしょう。
著作権の問題は・・・ホントにとても難しいので、トラブル回避のために手間を惜しまないことをお勧めいたします。

発行日の設定
ゲスト様を招いての本を発行する時や、新刊予定の告知・予約受け付けをしている場合、 『○月○日発行』と決めたからには、それを厳守するよう努力してください。
まあ・・・印刷屋さんでの作業日程の都合もあるかもしれませんし、ゲスト様からの原稿の集まりが 悪かった・・・等、色々事情はあると思いますので、『期日ピッタリの発行がマナーです』とは さすがに言いませんが・・・
あまりにも遅れる場合には、関係者様達への連絡を忘れずに。
個人的な考えですが・・・2ヶ月以上遅れるのなら・・・必要かな。
『同人誌が期日ピッタリに出る』と信じている人はそんなにいないでしょうから、まあこんなもの でしょう(苦笑)
ただし、大部数を委託してくださる方の場合、季節限定のビッグイベントに参加予定の可能性も ありますから、その場合は1日でも遅れるようであれば連絡の上、相談なさることを オススメします。

企画倒れ・・・
意外と多いんです。
ゲスト様の集まりが悪くて本発行の企画自体が立ち消えになったり、原稿を描(書)いて もらったものの、一部のゲスト様からの原稿が到着せず、それを待っている内に、 発行責任者側の事情が変わる(受験・就職・別ジャンルの活動)等して、いつの間にか発行が 忘れられていくケース・・・
自分1人で密かに本を作る予定だったのなら企画倒れしようが、誰にも迷惑をかけていないし、 それでも良いのかもしれませんが、ゲスト様を招いた場合や、既に予約を受け付けてしまった場合 等は笑い事では済みません。
本当は・・・こういうケースの企画倒れなんて絶対に良くないことなのですが、もしも・・・の時は、 お詫び状と共に、ゲスト様には原稿を、予約者様から代金をお預かりしている場合は その代金を必ずお返ししなくてはなりません。
・・・わざわざ書くまでのない当たり前のことなのですが、 意外と・・・これをやらないケース、多いんです。

自分が『ゲスト』の場合
ちょっと番外となりますが・・・一応。
とにかく発行責任者の方が決めたマニュアルに従わなくてはなりません。
気に入らない点があって、それに納得いかないのであればゲストを引き受けない方が良いでしょう ・・・っていうかゲストしないでください。
不明な点があれば、必ず問い合わせをすること。
迷惑に思われるかもしれませんが、わからないまま描(書)いて、余計に迷惑をかけるよりは ずっとマシです。
・・・まあ、何度も何度も少しずつ問い合わせる・・・なんて事はしないで、まとめて質問する・・・ って配慮くらいは必要でしょうが(笑)
一度引き受けたからには、特別な事情(病気・事故・天災等の自分ではどうしようもない理由)でも ない限りは必ず責任を持って原稿を仕上げてください。
どうしても無理・・・という場合は、早めに責任者の方へ連絡を取り、締め切り日やページ数を変更 してもらうなり、場合によってはお断りさせていただくなりしてください。
ギリギリになって『やっぱり無理』だなんて、大迷惑もいいところですよ!!

自分が『ゲスト』の場合・・・のついでに・・・
主催側からページ数を指定されなかった(自分の好きなページ数描ける)場合 限定の話なのですが・・・
自分の原稿が描きあがった後、時間的に余裕があるから・・・と、さらにページ数を追加して 執筆してくださる方が時折いらっしゃいますが・・・
これ・・・場合によってはとても助かるのですが、大抵の場合、 主催側では大パニックになります。
同人誌印刷はほとんどの場合、4または8ページ単位となっていますので、突然ページ数が増えると、 主催側ではさらに数ページ書き足した上、印刷代もさらに余計にかかることになるし(ワリカン印刷 の場合はその計算もやり直しになります)運の悪い時はその数ページのために本の重量にも影響が 出て、予約販売を受け付けていた分の送料がオーバーしてしまう・・・という悲しい事態になったり もするのです・・・
例えページ数の指定がなかった依頼であっても、一旦執筆ページ数をお知らせするor原稿自体を 発送してしまった後に、ぺージ数を変更する場合は、まず主催側に『まだ余裕ありますけど、 ページ数に空きはありますか?』等、必ず問い合わせるようにすると良いでしょう。
・・・同様に、アンケートやミニ企画原稿などについても、〆切を過ぎてから追加するようなことは 控えるべきかと思います。
場合によっては・・・そのたった1カット・数行の追加のために、主催側では 1ページまるまる作り直しになるか、最悪の場合 4〜8ページも書き足さなくてはならないことになるかもしれないのですから(泣)




その他の発行物の作り方のマナーの各項目はこちらです。
合わせて御覧になった上で、参考にしていただけたら幸いです。


原稿の描(書)き方のマナーを見る

同人誌の内容に関わるマナーを見る

便箋等グッズのマナーを見る

ペーパーのマナーを見る

発行後のマナーを見る




TOPへ戻る

メニューページへ戻る

知ってて得する同人マナーTOPに戻る

BBSへ・・・

Pumpkinへメール☆