『倭国封神』 第一幕






プロローグ



 ――――― この地を訪れることは、決してないと思っていた。


 そう、心に決めていたのである。

 あれから幾つもの季節が過ぎ、気が遠くなるほどの年月をも重ねてきた。
 一言で『平和』と言い切ることができるほど、この世界は平穏なものではなく、そう言い切るだけ 高慢な考えは持ち合わせてはいない。

「それでも・・・よくやった方だとは思いますよ」

 無機質な石の塊に、彼はそう声をかける。

「まだ、完全に・・・とはいえませんが、人間界に生きる者達の体から、始祖の遺伝子は 見受けられなくなりました。突然変異なども考えられなくもないですが、後は彼ら人間の力だけで 対処できるレベルだと信じています。言い換えれば、僕達はもう必要ないのでしょう」

 彼は、なおも眼前の『それ』に対して言葉を紡ぐ。

「・・・と言えば、聞こえはいいのですけどね」

 言いながら、彼は目を伏せる。

「・・・空間の歪みが消失しました。今はその時の余波を使って一時的に魂魄だけを『こちら』へ 飛ばしている状態なのですが・・・それ自体もあと数分ももたないでしょう」

 大きく息をついてから、軽く首を振る。

「不本意極まりありませんが、対処のしようがありませんでした」

 所詮この体は、自らが語った通りの魂魄体・・・話す相手も生身の人間ではなく、 ただの石の塊なのである。
 しかし、彼は以前そうしていたように、いつものままの口調で話しかける。


「僕達は・・・人間界とは決別します」




――――― お別れです・・・太公望師叔 ―――――






『倭国封神』 第一幕 第一話に続く・・・






あとがき・・・


 書きました・・・というか、書いてしまいました☆
 念願の、封神長編です。

 ストーリーは、WJ版封神の終了後のもので、設定等もそれをそのまま引き継いでいます。
 アニメやゲームは完全無視。
 例え、今後藤リューが、何らかの形で続編を書いたり、新たな設定・裏設定等を発表するような ことがあったとしても、あじは突っ走ります(爆)
 気長に書いていきますので、更新はめちゃめちゃ遅いとは思いますが、気長に読んでいただけたら 幸いです☆  





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